臨床試験とは、新しい薬や医療機器、生活習慣の変化などを、人を対象に試す研究です。試験で調べる治療は、まだ承認されていないか、この使い方では承認されていないことがよくあります。そのため、試験に参加しなければ受けられないこともあります。
どの臨床試験も、「プロトコル(実施計画書)」と呼ばれる詳しい計画に沿って行われます。プロトコルには、研究の目的、参加できる人、行われる検査や治療、研究の期間、集める情報が書かれています。
臨床試験に参加しても、ご本人に利益があるとは限りません。研究者にも、その治療が役に立つのか、害になるのか、通常の治療とほぼ同じ効果なのか、まだわかっていないことがよくあります。
ほとんどの臨床試験は、参加する前、参加している間、参加した後に、似たような段階を経ます。一般的な流れは次のとおりです。
1. 研究を探す
ご自身に合いそうな臨床試験があるかどうか、主治医に尋ねることができます。ご自身で臨床試験を探して、研究チームに直接連絡することもできます。このページの上にある「臨床試験を探す」ボタンから探し始めることもできます。
決める前に、主治医やご家族、ご友人に相談すると役に立つことがあります。
2. スクリーニング:参加できますか?
どの研究にも、誰が参加できるかについての決まりがあります。これを「適格基準」といいます。年齢、健康状態、これまでに受けた治療などが基準になることがあります。この決まりは、参加者の安全を守り、研究が知りたいことの答えを得るのに役立ちます。
スクリーニングは、多くの場合、最初の面談から始まります。研究看護師や臨床研究コーディネーターなど、研究チームのメンバーが研究について説明し、参加できそうかどうかを確かめるために質問をします。同意書に署名する前後に、研究チームが病歴を確認し、すべての条件を満たしているかを確かめるために検査を行うことがあります。結果によっては、その研究が合わないとわかることもあります。
参加できるかどうかを確かめるためだけに行う検査は、先に同意を得てから行わなければなりません。研究によっては、研究全体の同意書に署名する前に、こうした検査についての同意を別に求められることもあります。
3. インフォームド・コンセント:決める前によく知る
参加する前に、研究チームが研究について詳しく説明し、質問に答えます。この手続きを「インフォームド・コンセント」といいます。同意書も受け取ります。同意書には、研究で何が行われるか、どのくらいの時間がかかるか、謝礼や費用があるか、わかっているリスクと利益が書かれています。
参加することに決めたら、通常は同意書に署名します。この段階とご自身の権利については、インフォームド・コンセントのガイドで詳しく説明しています。
4. 来院、検査、研究の計画
参加が始まると、研究チームが毎回の来院で何をするかを伝え、健康状態と安全を定期的に確認します。研究が行われる場所、来院の回数、来院時に行うことは、研究によって異なります。研究は病院、診療所、研究機関、大学などで行われ、一部を電話やオンラインで行うものもあります。研究の期間は、数日のことも、数週間のことも、数年に及ぶこともあります。
研究の間、研究者はさまざまな方法で情報を集めます。たとえば、質問票、X線やその他の画像検査、血圧などの測定、血液や組織の検体などを使います。
多くの臨床試験では、参加者をランダムに、つまりくじ引きのように偶然で、いくつかのグループに分けます。あるグループは新しい治療を受け、別のグループは標準的な治療やプラセボを受けることがあります。プラセボは治療薬のように見えますが、有効成分は含まれていません。通常、どのグループに入るかを自分で選ぶことはできず、ご本人も研究スタッフも、どのグループかを知らない場合があります。
ほとんどの研究では、いつもの医師の診察を受け続けることができます。ただし、ほかの薬をやめるなど、普段の治療を変えたり制限したりするよう求める研究もあります。研究中に体調に問題が起きたら、通常はすぐに研究チームに知らせるよう求められます。
5. いつでもやめることができます
参加するかどうかは、最初から最後までご本人が決めることです。同意書に署名した後でも、いつでも、どんな理由でも研究をやめることができます。やめると決めたら、安全にやめられるよう研究チームに相談してください。
6. 研究が終わった後
研究への参加は、次のような場合に終わります。
- 研究が終わったとき
- すべての来院を終えたとき
- ご本人がやめると決めたとき
- やめることがご本人にとって最善だと研究チームが判断したとき
参加が終わった後、研究の結果が出たら、知らせてもらうよう依頼できます。今後の治療について、研究チームやいつもの医療チームと話し合うことができます。場合によっては、研究とは別にその治療を続けて受けられることもあります。研究チームが後日連絡して、体調を確認することもあります。
研究者は、わかったことを、参加者全員の結果をまとめた要約として公表することができます。たとえば、医学雑誌やClinicalTrials.govなどです。米国では、研究者が新しい治療の承認を求めるとき、米国食品医薬品局(FDA)が結果を審査し、承認するかどうかを決めます。
臨床試験の「相」は、ご自身にとって何を意味するのでしょうか
新しい薬の臨床試験は、多くの場合、「相(フェーズ)」と呼ばれるいくつかの段階を順に進みます。FDAは各相を次のように説明しています。
- 第1相の研究は小規模で、多くの場合20~100人が参加します。参加者は健康な志願者のこともあれば、その病気のある人のこともあります。安全性と、どのくらいの量を使うかを調べます。
- 第2相の研究には、その病気のある人が数百人まで参加します。薬がどのくらい効くかと、副作用を調べます。
- 第3相の研究には、その病気のある人が約300~3,000人参加します。薬が役に立つかどうかを試し、副作用を引き続き見守ります。規模が大きく期間も長いため、まれな副作用や長期的な副作用が見つかる可能性が高くなります。
- 第4相の研究は、FDAが薬を承認した後に行われます。より多くの人で、安全性と効果を引き続き確認します。
つまり、初期の相の研究は小規模なので、頻度の低い副作用は、第3相のようなより大きな研究や、薬が承認された後になって初めてわかることもあります。その研究の相がご自身にとって何を意味するかを研究チームに尋ね、その研究が合っているかどうかは、担当の医療チームと相談してください。




