臨床試験に参加するとお金がかかるのか、気になる方は多いでしょう。答えは、研究の内容と、加入している健康保険によって異なります。費用の多くは、研究の依頼者か、健康保険に加入していればその保険が負担します。一部の費用をご自身で支払うこともあります。このガイドでは、米国での一般的な費用の扱いについて説明します。

依頼者(スポンサー)とは、研究に責任を持つ人や組織のことで、製薬会社、医療機関、医師などがあります。

研究のための費用:研究側が支払うことが多い

研究のためだけに生じる費用があります。これを「研究費用」といいます。たとえば、次のようなものです。

  • 研究で使う薬や治療
  • 研究のためだけに行う臨床検査
  • 研究のためだけに追加で行うX線やその他の画像検査
  • 普段の治療では受けないはずの追加の診察

研究費用は、健康保険では支払われないことが多いですが、研究の依頼者が負担することがあります。多くの研究では、試される治療と、研究に関係する検査や来院の費用を研究側が支払います。

通常の診療の費用:保険に請求されることが多い

ほかの費用は、臨床試験に参加していなくても受けていたはずの診療にかかるものです。これを「通常の診療費」または「患者の診療費」といいます。診察、入院、標準的な治療、症状や副作用の治療、臨床検査、X線やその他の画像検査などが含まれます。

これらの費用は、健康保険で支払われることが多いです。研究に参加している間も、普段の診療の費用は、ご自身か保険が引き続き支払います。

交通費やその他の費用

参加するには、研究の実施場所まで通う必要があるかもしれません。その場合、交通費、宿泊費、食費、駐車料金、留守の間の子どもや高齢の家族の世話の費用など、ほかの費用がかかることがあります。

こうした費用を援助する研究もあります。研究に関係する交通費や宿泊費、駐車料金や食費を支払う研究もあります。研究に経済的な援助があるか、または援助をしている団体を知っているかを、研究チームに尋ねてください。

参加者に謝礼を支払う研究もあります。金額は研究によって異なります。

研究の謝礼と費用については、同意書に書かれています。米国では、FDAの規則により、FDAが監督する研究で追加の費用がかかる可能性がある場合、同意の過程でその費用を説明しなければなりません。

米国の健康保険

参加する前に、加入している保険会社に確認してください。研究に参加したことで受ける診療は、もともと受けていたはずの標準的な診療と同じであっても、保険で支払われない場合があります。

米国では、連邦法である医療費負担適正化法(Affordable Care Act)が役立つことがあります。この法律は、団体と個人の健康保険は、特定の臨床試験に参加する一部の人について、通常の診療費の補償を拒否したり制限したりしてはならないと定めています。これがご自身とその臨床試験に当てはまるかどうか、保険会社に尋ねてください。

米国国立がん研究所(NCI)は、保険証の裏にあるカスタマーサービスの番号などで保険会社に電話をして、次のことを尋ねるよう勧めています。

  • 臨床試験に参加する人の通常の診療費を補償していますか?
  • 支払うかどうかを決める前に、保険会社が臨床試験を審査する必要がありますか? これを「事前承認」といいます。必要な場合、どのような情報が要りますか?

保険の手続きを手伝ってくれる人が病院や診療所にいるかどうか尋ねてください。たとえば、医療費の相談員や臨床研究コーディネーターなどです。

保険会社が請求を認めなかった場合は、保険会社の請求担当部署に相談してください。不服申し立ての手順は、保険の契約書に書かれています。

メディケイド(Medicaid)は、通常の医療費を支払うのが難しい人のための健康保険制度です。誰が受けられるかの基準は州ごとに異なります。米国では、メディケイドは、条件を満たす臨床試験に参加するメディケイド加入者の通常の診療費を補償しなければなりません。参加しようとしている臨床試験が条件を満たしているかどうか、研究チームに尋ねてください。

メディケア

メディケア(Medicare)は、65歳以上の人と特定の障害のある人のための連邦の健康保険制度です。米国では、メディケアは、特定の臨床研究で、外来受診や検査などの一部の費用を補償します。

受ける治療によっては、メディケア承認額の20%を支払う場合があります。メディケア承認額とは、補償されるサービスや物品についてメディケアが定めた支払額です。パートBの免責額がかかることもあります。パートBは、メディケアのうち、特定の医師のサービス、外来診療、医療用品、予防サービスを補償する部分です。免責額とは、メディケアやほかの保険が支払いを始める前に、ご自身が支払わなければならない金額です。

検査やサービスにいくらかかるか、主治医やほかの医療提供者に尋ねてください。

同意する前に尋ねたい質問

参加する前に、研究がどの費用を負担し、どの費用を負担しないのかを研究チームに尋ねてください。次のような質問が役に立ちます。

  • 私の費用のうち、研究が支払うのはどれで、私や私の保険に請求されるのはどれですか?
  • 保険に請求される場合、免責額や自己負担額など、自分で支払う金額はいくらですか?
  • 交通費、駐車料金、宿泊費、食費の援助はありますか?
  • 参加の謝礼はありますか? ある場合、金額はいくらですか?
  • 研究が原因で健康被害を受けた場合、治療費は誰が支払いますか?
  • 保険について相談できる人はいますか?

研究の費用を、ほかの大切なことと一緒に考えるとき、担当の医療チームが力になってくれます。