臨床試験に参加するかどうかを決める前に、研究チームが研究について説明します。これを「インフォームド・コンセント」といいます。
インフォームド・コンセントは、書類に署名することだけだと考えている方も多いでしょう。しかし、署名はその一部にすぎません。インフォームド・コンセントは、研究に参加している間ずっと続く情報のやり取りです。
書類だけでなく、話し合いです
研究をよく知る研究チームのメンバーが、直接お話をして質問に答えます。研究チームは、研究の目的、行われること、考えられるリスクと利益を説明します。ほかの治療の選択肢も含めて、何でも尋ねることができます。
同意書も受け取ります。同意書には、話し合った内容が書面にまとめられていて、あとで疑問が出てきたときの連絡先も書かれています。参加することに同意したら、通常は同意書に署名し、その写しを受け取ります。
署名したら話し合いが終わるわけではありません。リスクに関する情報など、新しい情報が出てきたら、研究チームが知らせてくれます。
同意書で説明しなければならないこと
米国では、新しい薬や医療機器の研究など、FDAが監督する研究にFDAの規則が適用されます。この規則は、同意の際に伝えなければならない8つの事項を定めています。
- 研究であること、研究を行う理由、参加する期間、行われること、どの部分が試験的なものか
- 予想できるリスクや不快なこと
- ご本人やほかの人にとって期待できる利益
- ご本人に役立つ可能性のあるほかの手順や治療があれば、その内容
- 記録の秘密がどこまで守られるか、そしてFDAが記録を閲覧する可能性があること
- 最小限のリスクを超える研究の場合、健康被害を受けたときに補償や治療を受けられるかどうか、そして詳しい情報をどこで得られるか
- 研究や参加者の権利について質問があるときの連絡先と、研究が原因で健康被害を受けたときの連絡先
- 参加は自由意思によるもので、参加を断っても、後でやめても、不利益を受けたり、本来受けられる利益を失ったりしないこと
6の「最小限のリスク」とは、研究で予想される害や不快なことが、日常生活や、通常の身体的・心理的な診察や検査で起こるものより、起こりやすくもなく、重くもないという意味です。
該当する場合は、追加でかかる可能性のある費用や、やめると決めたときにどうなるかなど、ほかの事項も同意書に含めなければなりません。
参加者の権利
- 質問することができます。決める前はもちろん、研究の間いつでも質問できます。
- 時間をかけて考えることができます。米国のFDAの規則では、参加するかどうかを考える時間が十分に与えられなければなりません。研究チームは、プレッシャーをかけないよう注意しなければなりません。ご家族やご友人、主治医に相談してもよいでしょう。
- 理解できる形で情報を受け取ることができます。理解できる言語で情報を聞き、読む権利があります。米国のFDAの規則は、情報は理解できるレベルでなければならず、医学用語もわかりやすく説明しなければならないとも定めています。必要であれば、通訳や、ご自身の言語で書かれた同意書を求めてください。
- 断ることも、後でやめることもできます。参加しないことを選べます。参加した後も、署名した後でも、いつでも、どんな理由でもやめることができます。断っても、やめても不利益はなく、本来受けられる診療や利益はそのまま受けられます。安全にやめられるよう、やめる前に研究チームに相談してください。
参加者を守る委員会:IRB
ほとんどの臨床研究は、「施設内審査委員会(IRB)」と呼ばれる専門家の委員会の審査を受けます。「倫理審査委員会」と呼ばれることもあります。IRBの役割は、研究に参加する人の権利、安全、福祉を守ることです。
IRBは、次のようなことを行います。
- 研究が参加者を受け入れる前に、研究計画と同意書を審査します
- 研究がきちんと計画されているか、法律上・倫理上の問題がないか、不要なリスクがないか、安全のための計画があるかを確認します
- 研究のリスクと期待される利益を比べ、参加者のリスクが受け入れられる程度で、できるだけ低くなっているかを確認します
- 研究を承認したり、承認しなかったりすることができ、承認する前に研究計画の変更を求めることもできます
- 研究が始まった後も審査を続け、参加者を守るために、承認を一時停止したり、取り消したりすることもできます
米国では、連邦の規則により、IRBには少なくとも5人の委員がいなければなりません。その中には、科学者、科学者ではない人、研究が行われる施設と関係のない人が含まれます。
同意書には、権利について質問があるときの連絡先が書かれています。FDAは、この連絡先が研究チームに属さない人や部署であることを勧めています。IRBの事務局や患者相談窓口などが考えられます。
米国では、ヒト研究保護局(OHRP)とFDAが、研究に参加する人を守るための規則を定めています。
研究への参加を考えているなら、同意書を理解し、ご自身に合った決定をするために、担当の医療チームが力になってくれます。




